2019/06/05 00:38
今日は、刃物のハンドルでよく使われるG10材料とヌメ革のコバ磨き棒の話をしましょう。

G10は、グラスファイバーを積層し、樹脂で固めた安定な材料です。吸水性が極めて低く、カーボンファイバーと同等の性質を持ち、絶縁で酸とアルカリに強い耐性を備わっています。
これらの特性のおかげで、プロの刃物製作者たちに愛用されたハンドル材として知られています。
理想な乾燥処理を実施した木材の含水率はおおよそ15%前後、それが空気中の湿度によって吸湿も放湿もしない平衡含水率といいます。しかし、あくまで空気中の湿度に影響されないですが、水や薬剤に直接触れた場合、話は別になるでしょう。
一方で、G10の含水率はほぼゼロに加え、吸水率はなんと0.09%と優秀すぎるほどな存在でした。
G10のそれらの特性を生かし、中国のレザークラフト専門道具師「前羽」(マエバ)さんはG10制コバ磨き棒と床面ポリッシャーを開発しました。
それでは、三種類のコバ磨き棒で比較試験を実施させていただき、違いを検証しましょう。
試験対象は欅木(ケヤキ)を使用した一般市販品、紫檀という緻密な木材を使用した製品とG10を使用した弊店製品です。
写真をご覧ください。奥手からは欅木、紫檀とG10の順番です。

一番奥の欅木では、染料やコバ処理液からのシミがはっきりと見られてます。
真ん中の紫檀について、木材本来の濃い色調にもかかわらず、染料からの色移りも確認できます。
最後は手前のG10ですが、色が真っ黒のため、染料から色が移されたかが確認できません。
そのため、追加試験を実施します。
まず黒い染料に18時間以上を沈み、

次第に、取り出したG10コバ磨き棒をテッシュで拭き取り、


すぐさまナチュラルなヌメ革上で擦れます。

革に色付きは全くありません!

続いて、吸水性の試験を実施します。
3種類のコバ磨き棒を水に126時間に置き放し、浸水前後の重さで吸水率を計算しました。


ケヤキ浸水以前の重さは33.2グラムに対して、浸水後は51.96グラムでした。吸水率はなんと57.3%というとんでもない数字でした。


一方、紫檀の浸水前後の重さは51.91グラム対55.48グラムでして、吸水率は約6.4%でした。


最後、G10制コバ磨き棒の浸水前後の重さですが、52.5グラム対52.51グラム、吸水率はほぼ0%とも言えそうでした。
ジェル状なトコノールやCMCから腐食性がある各種染料まで、G10制のコバ磨き棒と床面ポリッシャーは色シミの心配が全くなく、恐らく最適な磨き道具だと自信をもっておすすめしたいと思います。



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