2019/07/16 20:42
皆さんは厚い革に目打ちを打つ時一番困ったことはなんでしょう。
私にとって、革に置くまで打ち込んだ目打ちをなかなか抜けないことですね。
下手にすると目打ちは革を引っ張り、革が変形したり、縫い穴も必要以上に拡大されてしまう可能性があります。
こういう問題を解決するため、以前弊店から紹介させていただいた中国のレザークラフト専門道具師「前羽」(マエバ)さんは「目打ち押え」という商品を開発しました。
一見簡単そうな構造ですが、一度使い慣れたらきっと欠かせない存在になるかと思います。

使い方の紹介
使い方について、あまり説明もいらないと思いますが、念のため写真一枚を添付しましょう。

ご覧の通り、目打ち周辺の革をこの「両面目打ち押え」を使って片手で抑えながら、もう片手は目打ちを抜ければ完了です。
使い慣れたら、目打ちを移動しながら次々と菱目打ちを進めてもかまいません。
商品の材質と細部のこだわり
この商品もG10という材質を採用しました。
G10の特性について、弊店から紹介させていただいた「G10材料の紹介とコバ磨き棒」とご参照ください。
今回もG10を採用した理由は以下のいくつがあります。
- 目打ち押えの溝部分について、あなる厚み(深さ)が存在すると、斜めの目線から次の目打ちラインが確認し辛くなります。
そのため、薄くて強度が高いのG10材料が自然に選ばれるようになりました。 - 目打ちを抜くとき、目打ち押えの細い部分に大きな力を加えています。そのため、木などの材料で目打ち押えを作れば、折れてしまう可能性があります。一方、金属の材料を採用する場合、目打ちの鋭い先端が目打ち押えに当たると目打ちの先端が損傷される可能性があります。
木より強度がダントツ強く一方、金属の目打ち先端に少し負けるG10材料材料は一番バランスが取れた選択でした。 - G10材料はグラスファイバーを積層し、樹脂で固めた材料のため、カーボンファイバーのよう織り目が容易に出現します。
独特な高級感やユニーク感を演出しています。
外観設計上のこだわり
- 全体的なサイズ感がコンパクトで、最も厚い部分で厚さが3.5mmです。また溝のエッジ部分から徐々に薄くなり、視野を干渉せず目打ち作業ができます。
- 溝の幅が3mmも確保しているため、どのようなな目打ちにも対応できます。ちなみにこの写真で目打ち押えは確かに視野は干渉しないことを確認できるでしょう。
- 職人さんの手に十分な配慮を行い、すべての部分で程度いい面取りが施されています。
- 上下それぞれ2列の溝が設けられ、左効きでも右利きでも柔軟に対応できます。