2021/07/21 16:00

いつもお世話になっております。
TORU LEATHERSの杉原です。

Kingsley箔押し機について、ご検討中のお客様はもちろん、すでにご購入されたお客様から
「どうやってきれいに箔押し・素押しができますか」のお問い合わせが多かった印象です。
今回はKingsley箔押し機デジタル版を用いて箔押し・素押しのテクニック、備品、補助ツールなどを惜しまなくお伝えいたします。

箔押しに一番大事な要素は4点と考えています。
◎素材(革、紙、木材など)
◎温度
◎押しかけ時間
◎金箔の品質(箔押しのみ)
上記以外、下敷きや刻印図案の作りなども最終仕上げを左右するだが、
具体的なシチュエーションで試行錯誤しながら模索しても一つの醍醐味かと思います。


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【素押し】
革での素押しは基本ヌメ革のみが対象となります。
また、ヌメ革のオイル量と厚みによって結果が大きく変わります。


使い慣れていないヌメ革を初めて素押しする時、ひとまず以下の手順でお試し刻印をお勧めします。
1. ヒーターの電源を入れる前、レーザー照準器に合わせ、革の位置と刻印の場所を調整しましょう。
2. ヒーターの電源を入れ、箔押し機の温度を華氏250度に設定しましょう。
3. レバーハンドルに少々力を掛けながら、押しかけ時間は20秒以内で黙読しましょう。

ヌメ革にオイル量が多い場合、設定温度を270~300度あたりに調整し、押しかけ時間を少し伸ばしながら試してみてください。
どうしても刻印跡が浅いようでしたら、革を少し濡らしてから再度チャレンジしてもよいかもしれません。
その際に押しかけ時間を5秒以内に収まってもよいです。(時間が長くなると焦げてしまいます。)

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【箔押し】
金箔刻印は熱により金箔(銀箔)フィルム裏面の接着層に接着力を発生させ、革や紙などに接着するという仕組みになっています。
原理はかんたんそうに見えますが、
裏面の接着層が不均一なため、接着不十分になると失敗ですし、
刻印後の金箔フィルムをはがす際に、剥がしてはいけない図案の部分も一緒に剥がされたら、また失敗になります。
金箔フィルムなら国産の村田金箔さんの製品を強くお勧めします。
(アマゾンにて村田金箔を検索すれば、ご購入ができます。サイズと色によって、3000円前後となりますが、とっても長く使えるかと思います。)


箔押しは素押しと違って適切な温度範囲が非常に狭くなります。
村田金箔ならKingsley箔押し機デジタル版の温度を華氏248度に設定してください。
押しかけ時間は1秒のみで十分となります。

柔らかい材質(紙や薄い革)に刻印する場合、ゴム板を下敷きにすれば、たとえ刻印の水平面が多少傾いても材質とは十分に接触できます。


この方法はヌメ革はもちろん、クローム鞣し革、硬質な紙に薄い紙まで幅広く適用され、いろんな材質にチャレンジしてみてください。


最後ですが、熱々の刻印を交換する際に火傷されないように十分にご注意ください。
写真のようにホック打ち台を裏返して刻印ホルダーを上に静置すれば、しばらく冷めていきます。
大きな鉄板やステンレスのシンクに置けるならより効果的です。

適切な箔押しは点睛の効果を果たせ、上質感を演出してくれますので、ぜひご検討ください。


一覧表で刻印スペックの諸元をまとめました。ご参考になればうれしいです。

※ブログ中の二列刻印ホルダーは近日中に発売する予定となりますので、ぜひご期待ください。